冬季五輪の回想。あの失敗ジャンプ後、原田雅彦は力なく笑っていた (5ページ目)

  • photo by Kyodo News

 自国の選手でなくてもそれだけの声援を送ったように、ノルウェーの観客たちは本当に冬季競技を愛していた。スケート会場近くの大きなテントにはパブリックビューイングが用意され、チケットのない人でも会場の雰囲気を感じながら観戦をすることができた。ペットボトルの飲み物が凍るほどの寒さの中でも、テントを張って場所を取ったり、発砲スチロール箱の上に立ち見で観戦したりと、小さなリレハンメルの街が五輪に熱狂していた。

 現在の五輪は競技数が増えて規模も大きくなり、あの熱気をギュッと詰めたような雰囲気を感じるのは難しくなっている。しかしそれでも、間近に迫る平昌五輪は、競技や選手をリスペクトする気持ちが前面に出た大会になることを期待する。

(長野五輪につづく)

折山淑美(おりやま・としみ)
長野県生まれ。1992年のバルセロナ五輪以降、夏季・冬季五輪を14大会連続で現地取材を行なっているフリーライター。フィギュアスケート、スキージャンプ、陸上など、競技を問わず精力的に取材を重ね、選手からの信頼も厚い。著書に『日本のマラソンはなぜダメになったのか 日本記録を更新した7人の侍の声を聞け!』(文春e-book)、『「才能」の伸ばし方──五輪選手の育成術に学ぶ』 (集英社新書)などがある。

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