3横綱なき秋場所で、豪栄道が1年ぶりの「カド番→優勝」を狙う (2ページ目)
しかし、年明けの最初の稽古に"落とし穴"が待ち受けていた。1月2日の出羽海一門の連合稽古で、ぎっくり腰になってしまったのだ。歩くことも難しい状態で初場所を強行出場し、11日目に勝ち越しを決めたものの、翌12日目の遠藤戦で右足首のじん帯を負傷。13日目の稀勢の里戦から休場を余儀なくされた。
綱取りに挑んでいた稀勢の里が相手だっただけに、「オレが阻止してやる」と闘志をみなぎらせていたが、当日の朝に目が覚めた時はまったく右足が動かず、無念の休場となってしまった。「前日まで出る気満々だったので、あの休場は本当に悔しかった」と、今でも唇を噛みしめる。
その悔しさを晴らそうと、地元・大阪の春場所で再起を期したが、体の状態は万全というにはほど遠かった。結局、6日目から休場となり、初めて2場所連続で休場するという"どん底"を味わった。
初優勝の歓喜から、わずか半年で叩き落とされた地獄。精神的には苦しかっただろうが、豪栄道は一切、愚痴をこぼさなかった。稽古場ではケガの回復具合を見ながら黙々と稽古を続け、「やれることだけはやらんと。腐ったら終わり」と自分に言い聞かせて汗を流した。
先場所は7勝8敗と負け越したが、立ち合いの当たりの強さや相撲内容は悪くなかった。夏巡業でも精力的に稽古を重ねると、場所前には時津風部屋と二所ノ関一門の連合稽古で大関・高安らと胸を合わせ、「いい感じできています」と話すように、順調な調整ができている。
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