女子ジャンプはWエース。
沙羅のライバル、伊藤有希が「夏の女王」へ

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

 8月26日、長野県白馬ジャンプ競技場で開催された、NBS杯レディス白馬サマージャンプ大会。高梨沙羅(クラレ)は、翌日に新潟で行なわれる塩沢ジャンプ大会に出場するため、この大会には出場せず、出場者7名のうちサマーグランプリ遠征メンバーは伊藤有希(土屋ホーム)と岩渕香里(北野建設)のふたりだった。

冬の本番を前に、夏から好調な伊藤有希冬の本番を前に、夏から好調な伊藤有希 伊藤と岩渕にとっては、チェコで行なわれたサマーグランプリ第3戦から帰国したばかりで、前日の公式練習は雨で中止となってぶっつけ本番となった試合。それでも伊藤は「ラージヒルを跳ぶことで空中での感覚がよくなることが多いので、期待しています。それに白馬もすごく好きなので、楽しみにしていた大会です」と、リラックスした様子だった。

 そんな言葉通りトライアルジャンプでは、ほかの選手が飛距離を伸ばせないでいるなか、ひとりだけK点(120m)を大きく超える127.5mを飛び、今季のサマーグランプリで優勝1回、3位2回で総合1位に立つ実力を見せつけた。

 1本目のジャンプは、ほかの選手が24番ゲートからスタートして、ひとり前の岩渕が120.5mを飛んだのに対し、伊藤だけはジュリー(競技最高責任者)が飛び過ぎを恐れて4段低い20番ゲートからのスタート。だがランディングバーンの下方の風が悪く117.5mに落ちるジャンプになってしまった。それでもゲートファクターで2位の岩渕に14点差をつけてトップに立ち、「自分ではテイクオフしたあとは130mを超えるくらいの高さがあったので、期待していたんですが、結構手前で落ちちゃって......」とあっけらかんとしていた。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る