2016.11.17

カーリング世界選手権出場を逃した
「氷上のゴミ」。LS北見に今必要なもの

  • 竹田聡一郎●取材・文 text&photo by Takeda Soichiro

「ライン、いいよぉ!」

 スキップの藤澤五月の放ったラストストーンに対して、サードの吉田知那美がそうコールした。

 パシフィック・アジア・カーリング選手権(11月5日~12日/韓国・義城)予選リーグの中国戦、日本女子代表のロコ・ソラーレ北見(以下、LS北見)が1点リードで迎えた最終第10エンドのこと。ハウス内には中国の黄色いストーンがふたつあるが、いずれも中心からは遠く、藤澤はラストショットをハウスの中央付近に止めればよかった。彼女のデリバリー技術と、日本屈指のLS北見のスイープ力があれば、さほど難しくないショットだ。

 スイーパーの鈴木夕湖と吉田夕梨花も、吉田知のコールに従ってブラシを掃く手を止めて、藤澤が放ったストーンの行方を見守る。赤いストーンは、ハウス左から悠然とインターンを描いて中心に向かっていく。ラインも、ウエイトも問題なく、LS北見はさらに1点を追加し、このまま勝利を飾って無敗で予選最終日に臨むはず、だった。

 ところが、ストーンがちょうどシート中央を通過したあたりで、鈴木と吉田夕が猛然とブラシを掃き始めた。藤澤も、吉田も「ヤップ、ヤーップ」と声を張り上げて、スイーパーふたりに氷上のラインを掃くよう指示を送った。

 突然、藤澤の放ったストーンの回転と軌道が変わったのだ。