2016.08.08

ひたむきな姿勢と緻密な作戦で、
三宅宏実が「奇跡の銅メダル」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

痛み止めを打ちながらも成功させて、2大会連続のメダルを獲得した三宅宏実 今回の五輪が4回目となる12年ロンドン五輪ウェイトリフティング銀メダリストの三宅宏実。昨年の世界選手権では48kg級に出場してトータル193kgで銅メダルを獲得しているが、リオデジャネイロ五輪は満身創痍ともいえる状態で臨むしかなかった。

 世界選手権後に左膝を痛め、さらに腰痛も発症。結局、リオ五輪競技初日8月6日の女子48kg級も万全な体調では迎えられず、試合前には痛み止めを射った上で座薬や服用薬まで使用する状態だった。

 ただ、追い風になる条件もあった。今大会、ロシアがドーピング問題で出場停止になり、75kg級で絶対的な強さを誇っていたタチアナ・カシリナが出場しなくなったため、中国は48kg級より75kg級の方が金メダル獲得の確率が高いと判断し、48kg級にはエントリーがなかったのだ。

 中国の選手を除くと、三宅の成績はギリギリで3位入賞可能と予想された。

 そんな彼女が取った作戦は、体のことを考えて、ロンドン五輪のスタート重量であるスナッチ83kgとクリーン&ジャーク108kgより重量を低めから始め、勝負どころでメダル圏内の重量に挑戦するものだった。さらに当日の体重もバーベルの重量に少しでも耐えるためにと、これまで47.5kg以下だったものを出場選手の中では最も重い47.95kgにするギリギリの調整をしてきた。