【レスリング】永田克彦「42歳での復帰とグレコローマンへの想い」 (5ページ目)
それは男だったら誰でも思うであろう「強さ」への憧れといってもいい。
体重を減らした階級で再度世界一の称号を目指すより、階級を上げてその称号を手にした方がよりモチベーションも上がり、より「強さ」を感じることができる。永田はそこを追求した。
あれから11年――。
一時はプロ格闘家の道を歩み、MMA(総合格闘技)のリングにも立った彼は今、何を思い、この先どんな道を歩もうというのだろうか?
「昔は自分のため、自分がオリンピックへ行きたいとかメダルを獲りたいとかそういった気持ちで脇目もふらずガツガツやっていました。でも、今は指導者にもなり、これまでの経験をしてきたなかで、自分のやってきたことを子どもたちに見せたい、そうしたモチベーションに変わっています。そういった中でレスリング界に限らず、いろんなスポーツがある中で“40代”でもできるんだって姿をまだまだ見せたいとも思いますし、社会で活躍する同年代の方々に少しでも勇気を与えられたらとも思うんです」
五輪出場だけがレスリングじゃない――それはまるで「あえて立ち止まってみます」と、今回の全日本選手権の欠場を決めたアテネ五輪女子75㎏級銅メダリスト・浜口京子へのエールのようにも聞こえた。
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