バドミントン王国日本へ。女子決勝の日本人対決が見せた底力 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真 photo by Tsukida Jun

 そんな選手たちに負けない戦いを見せたのが、高校生の山口だった。五輪出場レースで有利になる獲得ポイントの高い世界選手権出場を辞退して「最後の年だから自分を育ててくれた勝山市と高校に恩返しをしたかった」と、インターハイに出場した山口。そこで3連覇を達成した彼女は、世界ランキング10位。1回戦では、世界選手権3位でこれまで3戦して未勝利のスン・ジヒュン(韓国/8位)を相手に、ドロップショットなどで幻惑してあっさりと2対0で勝利を収めた。

 2回戦は格下を軽く下し、準々決勝はロンドン五輪女王の李雪ルイ(リ・シュールイ/中国/4位)との対戦。追い風の吹く苦手なコートだったが、山口にとって李は、6月のインドネシアオープンで勝っている相手。「初めて対戦した時から相手が自分に対して苦手意識があるかなと感じていたので、そこがプレーを楽しめた理由です」と、度胸も満点だった。

 そして準決勝では世界ランキング7位の王適嫻(ワン・シーシャン/中国)に対し、第1ゲームは相手を前後に動かして21対12で取ったが、第2ゲームは苦手な追い風の吹くコートで落とし、ファイナルゲームも6対11の状況で苦手な側のコートに移る危機を迎えた。

「ずっと勝てる気がしなかった。もう開き直って頑張るしかないので。それまでは自分が仕掛けることが多かったけど、無理に仕掛けないで相手の後ろに飛ばしてミスを待とうという気持ちになった」という山口は、お互いに3回ずつマッチポイントを握り合う大接戦を26対24で制し、決勝進出を決めたのだった。

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