【インタビュー】美しきヒロインの素顔~川崎衣美子(空手) (2ページ目)
脊山 空手をやっているのが楽しかったんでしょうね。
川崎 当時のそういう記憶は一切ないんです。逆に(自分が空手を)やっていることに気づいたときには、「辞めたい」と思いました(笑)。学校が終わるとほとんど道場に通って練習していたので、まったく遊べないんですよ。小学生や中学生になると、放課後は友だちと一緒に遊びに行ったり、買い物したりしたいじゃないですか。そういう普通のことができないのが、何より嫌でしたね。
脊山 それでも空手を辞めることはありませんでした。
川崎 周りの子がバレーボールやバスケットボールを始めるのを見て、羨ましいと思ったりしましたが、自分はとにかく球技が苦手で......。ボールを投げるのも際どいほどで、自分は「空手しかできないのかな」というぐらいの勢いで、空手にどっぷりはまっていたからだと思います(笑)。それと、中学生になってからは新しい流派の道場でイチからやり始めたんですが、その道場で出会った先生が本当にすごい方だったんです。まさに恩師と呼ぶべき人で、その先生のために空手をやり続けたような気がします。
脊山 その結果、中学3年生のときには、全国中学生空手道選手権大会(女子個人形)で見事に優勝しました。
川崎 県大会ではずっと2位通過だったんです。ひとり強い子がいて、その子にはずっと勝てませんでした。それで、考えても仕方がないのに「自分のどこが悪いんだろう......」と悩んでしまって、そういう自分が嫌でしたね。でも、空手をやっているときは、先生に言われたことだけに集中しようと思って、最後に全国で結果を出すことができました。
脊山 その先生に言われたことで、記憶に残っている言葉はありますか?
川崎「他人(ひと)と同じことをするのではなく、衣美子にしかできないことがあるから、そこを一生懸命伸ばして他人と違うものを作っていこう」と言われたときは、グッとくるものがありました。それで、自分はどんなときでも思い切ったことができるほうだと自覚していたので、そういう良さは生かせればいいな、と思いました。
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