【月刊・白鵬】なでしこジャパンの佐々木監督から感じた「オーラ」 (2ページ目)
さて、今年はオリンピックイヤー。名古屋場所の千秋楽が終わってまもなくすると、ロンドン五輪が開幕します。スポーツ観戦が大好きな私は、日本、モンゴル、そしてアジア勢の活躍に、今からワクワクしています。
私が、これほど五輪が好きなのには理由があります。私の父(※編集部注:ジグジドゥ・ムンフバト氏)が、1964年の東京五輪や1968年のメキシコ五輪などに、レスリングのモンゴル代表として出場しているからです。東京大会の時は、フリースタイル87kg級で7位でしたが、メキシコ大会では同階級で銀メダルを獲ったんですよ。
小さい頃から、父は私に五輪の話をいろいろとしてくれました。初めて日本に来た時の印象や、レスリングによって結ばれた他国の選手との友情など、五輪には勝ち負けを超えた素晴らしさがあることを、息子の私に教えたかったんだと思います。
メキシコでの銀メダルは、モンゴル国として初めてのメダル獲得でした。
「勝負で負けてはいないけれど、ポイント制だったから金メダルに届かなかった」と、父は今でも当時のことを悔しそうに振り返っていますが、その時のメダルはウランバートル市内の実家に大切に飾ってあります。
私が個人的に印象に残っているのは、前回の北京五輪柔道100kg級で、モンゴル初の金メダリストとなったナイダン・ツブシンバヤル選手の活躍です。もともと世界選手権などでは実績があった選手ですから、国の期待も大きく、その重圧たるや大変なものだったと思います。しかし、そのプレッシャーをはねのけて、見事に国民の期待に応えてくれました。そのとき、モンゴルが世界中に認められたような気持ちになったものです。
そして、ちょうど北京五輪終了後、我々大相撲一行は、初めて「大相撲モンゴル巡業」を開催し、幕内の全力士がウランバートル入りしました。その際、巡業が成功に終わったあとのサヨナラパーティーの席上で、なんとツブシンバヤル選手と、もうひとりの金メダリスト、ボクシングバンタム級のエンクバット・バダルウーガン選手が来場してくれたのです。それには、本当に感激しました。
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