【レスリング】吉田沙保里「負けた試合は、無心じゃなかった」 (2ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

敗戦後、吉田は人目を気にせず会場で号泣した敗戦後、吉田は人目を気にせず会場で号泣した――吉田選手の最大の武器といえば、ノーモーションで入る高速タックルです。これまでは相手にスキがあれば、身体が瞬時に反応して飛び込んでいたと思うのですが。

吉田 そうですね。あの試合では、躊躇(ちゅうちょ)する自分がいました。

――敗北を喫したワールドカップは計量時2キロオーバーまで認められる変則ルールなので、昨年まで59キロ級で戦っていた対戦相手とは、見た目も明らかな体格差があったように感じたのですが。

吉田 いえ、それは関係ありません。体重の重い選手とも練習していますから。

――大会翌日にドクターから「極度の貧血状態」と診断されましたが、その後の体調は?

吉田 体調はもう大丈夫です。でも、貧血は敗因のひとつかもしれませんが、大きなことではありません。(負けた)前日もグループリーグで2試合やって、いずれも勝っていますし。

――しっかり自己分析されていますね。

吉田 人間、負けることもある。前を見て進まないと。

――やっぱり、レスリングは奥深い競技ですね。

吉田 そうですねぇ。私なんかまだまだ、『なんも言えねぇ!』って感じですかね(笑)。

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