【レスリング】吉田沙保里があと2ヵ月で決断すべきこと

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

まさかの敗戦にマットの上で呆然とする吉田沙保里まさかの敗戦にマットの上で呆然とする吉田沙保里 吉田沙保里が、4年ぶりに黒星を喫した。

 5月26日、27日に東京・国立代々木競技場第2体育館で行なわれた『東日本大震災復興支援2012女子レスリングワールドカップ』。7階級で争う国別団体対抗戦で、ウクライナ、アメリカ、中国を撃破した日本は、Aブロックを1位通過。Bブロック1位となったロシアとの決勝に臨んだ。

 オリンピックで実施されない51キロ級、59キロ級、67キロ級で3連勝した日本は、48キロ級の小原日登美も貫禄勝ち。6年ぶり6度目の優勝が決定した後、55キロ級の吉田は5番手として登場した。相手は昨年の世界選手権59キロ級9位、19歳のワレリア・ジョロボワ。

 ロンドンで日本女子初の『オリンピック3連覇』を狙う吉田は、今大会、得意のスカッドミサイル・タックルを封印していた。カウンター狙いの選手に返される危険がないよう、組んだ状態からタックルを決める接近戦をモノにしようと取り組んでいるからだ。第1ピリオド、吉田は片足タックルを決めてポイントを奪い、ピリオドを獲得。戦術変更がうまく進んでいるかのように試合を運んでいた。続く第2ピリオドも、攻めてこない相手に自ら仕掛けてタックルを決め、テイクダウンを奪ったかに見えた。しかし、ポイントは認められず。そのままゾーン際に流れ、投げの打ち合いで先に足の出た吉田が、ピリオドを失うこととなる。これで1-1。

 そして運命の第3ピリオド。髪を乱し、必死の形相でポイントを奪いに行った吉田は1分23秒、両足タックルを決め、そのまま押し込んだ。ところがソーン際、またしてもうっちゃられ、場外に出されて失点。その後も果敢に責め続けたが逆転できず、まさかの敗戦となった。2008年1月以来、実に1590日ぶりの黒星。連勝も58でストップした。

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