【スキージャンプ】W杯連勝。日本のエース・伊東大貴、成長の要因 (2ページ目)
伊東は体重が増えにくい体質で、なるべく長いスキーを使用するために体重を減らさないよう食事に気をつかうなど、競技以外のストレスもあってメンタルをうまくコントロールできないこともあった。
※競技規定で、身長に対して体重が軽すぎると使用できるスキーの長さも短くなる。
だが今季は、夏の間ほとんどスキーを履かず、自分が一番動きやすい身体づくりを目指した。そして、冬に入っても使用できる最長のスキーより2cm短いものを使用し、余分なストレスの軽減に努めたのだ。
全日本チームの合宿でも、普段より10cm短いスキーを使っての練習に取り組み、その成果も確実に出てきた。さらに、キッチリ踏み切って空中で浮力を得る姿勢を身につけるためのコア・トレーニング(体幹トレーニング)も取り入れた。
ジャンプの場合、向かい風なら身体を前方に倒せば飛距離を伸ばせるが、向かい風になることがほとんどないヨーロッパでは、身体を前に倒せば追い風に叩かれて失速してしまう。これまでの苦戦の原因は、空中で身体が動いてしまう点にあったが、短いスキーでの練習などで、浮力を受けやすい姿勢を保てるようになってきたのだ。
精神面の成長もある。「夏の成績がよかったのは他の選手が悪かっただけ。W杯も同じで自分の調子がいいというより、他の人が悪いからこの順番にいるだけ。ジャンプに完璧はありませんから」と、自分の成績を冷静にとらえられるようになった。
日本チームの横川朝治ヘッドコーチは「伊東は今、世界で一番遠くへ飛べる選手」と評価する。だがそれは、日本のジャンプ台だけではなく、ヨーロッパのジャンプ台でも証明しなければいけない。
伊東自身もそのことは十分承知している。この後のW杯でも勝利をあげ、総合一桁順位を確保すること。それが伊東のエースとしての自信を、さらに強固なものにするだろう。
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