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引退を発表のりくりゅうが成し遂げた「金メダル以上の功績」 逆風を受けながらもへこたれず、力強く歩んできた (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【何ものにも代えがたい功績】

 かつてフィギュアスケート会場では、カップル競技の観客の入りは思わしくなかった。選手たちは懸命に演技していたが、鶏が先か、卵が先か、競技の知名度を上げるスター選手が出てこないと興味も湧きにくい。

 アイスダンスでは「かなだい」(村元哉中・高橋大輔)が人気向上にひと役買ったが、ペアではりくりゅうが徐々に観客を増やした。そしてミラノ五輪で金メダルを獲り、大阪での凱旋公演『スターズ・オン・アイス』では大トリで登場し、大歓声を浴びたのだ。

 りくりゅうはミラノでの奇跡の逆転金メダルによって、ひとつの物語をつくった。その感動が日本中に伝播した。人々の間でペアが認知され、土台ができたのである。その功績は何ものにも代えがたい。今後は、自ら出場枠を勝ち獲ってミラノ五輪の舞台にも立った「ゆなすみ」(長岡柚奈・森口澄士)にスポットライトが当たるはずだ。

 りくりゅうは金字塔を打ち立てた。物語をつむぎ、道をつくったことは、金メダル以上の功績だろう。もっとも、金メダルが物語を強固にし、道も広げたとも言える。

「ツイストリフト」「スロージャンプ」「デススパイラル」

 世間で未知だったペアの用語が、ふたりの活躍によって知られることになった。ミラノで、木原に持ち上げられた三浦が左腕を突き上げる姿は、人々の記憶のなかで生きるだろう。それは時代の転換点だ。

「詳しいことは会見で」

 ふたりは言う。今はふたりのチャレンジに称賛を。りくりゅうは、新時代の扉を開けたのだ。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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