「ミラノの感動をもう一度」坂本花織、りくりゅう、鍵山優真らの演技にファン熱狂【スターズ・オン・アイス】 (2ページ目)
【新たなファンを"フィギュア沼"へ】
グループナンバーの四番手には、坂本が登場している。ミラノでは、SP1位でバトンをつなぎ、フリーも1位でスケート人生を凝縮したような演技を見せた。3月の現役最後の世界選手権でも優勝した実力者だが、チームで戦う時に際立ってたくましかった。その勇姿が大阪のリンクでも再現されていた。
「うたまさの演技を見て、りくりゅうの結果を聞いて、気持ちがたかぶって、いい緊張感で演技ができました」
ミラノでの坂本の言葉だが、強い絆を感じられるのも異能だ。
そして最後に滑ったのが佐藤駿だった。団体の男子フリーでみんなの思いを背負いながら、「4回転の神」と言われるマリニンと互角に渡り合った。惜しくも2位だったが、誇らしい演技にも悔し泣きする彼を仲間たちが激励する様子が印象的だった。
「このメンバーだからこそ、いいバトンを受けられました。感謝しかありません」
団体の演技後の佐藤の言葉だが、このチームワークが日本の強さにつながっていた。その姿が多くの人の心を動かしたのだろう。結果、フィギュアスケートの新たなファンも開拓できたようだ。
すでに『スターズ・オン・アイス』大阪公演のチケットは売り切れ。初日から6500人の超満員だった。フィギュアスケート観戦に不慣れな家族連れもいて、手探りの様子もあったが、彼らもこれからフィギュアスケートの沼にハマっていくのかもしれない。
その点、ミラノの団体の戦いは新時代へつなぐバトンとして象徴的だった。そのメンバーは、新しいシーズンもリンクに立つ。唯一、坂本は偉大な記録と記憶とともに競技生活に終止符を打つことになった。
「(引退の)実感はまだないです。強いて言えば、(プログラムの)振り付けの予定がないなって思いますね。世界選手権から帰ってくる頃には、毎年、誰かに振り付けしてもらっていたので。どの時期にどこに行くのかをまったく考えないでいいので、選手じゃないんだなって」
惜別のラストダンスはにぎやかだ。
大阪では、時代の節目を目撃できるだろう。4月4日、5日と公演は続く。東京公演は4月10〜12日に開かれる予定だ。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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