【ミラノ五輪】20年前の荒川静香の金メダルが色あせない理由 坂本花織、千葉百音、中井亜美はその域に達せるか (3ページ目)
言うまでもないが、フィギュアスケート界全体の技術は革新の一途をたどっている。今は締め出されているロシアの選手の体つきを見ていると、まさにフィギュアスケートをするためだけにトレーニングを重ねており、それはやや行き過ぎているほどだろう。トレーニング方法やフィジカル能力の高さなど、20年前とは隔世の感がある。
だから単純な比較はバカげている......。だが、そこにはひとつの真理がある。
「真に一流の選手は、時代に適応することができる」
時代を越えた選手の優劣の議論はあらゆるスポーツで行なわれるが、その時代のトップに立った選手は、違う時代でも求められていることに反応し、その先頭に立てるという。たとえばサッカーのディエゴ・マラドーナは現代のピッチに立っていれば、リオネル・メッシに匹敵するか、それ以上になっていたかもしれない。アジア人女性初のメダルを勝ち取った伊藤みどり、国民的人気を誇ってメダルに輝いた浅田真央も同じで、彼女たちはオールタイムチャンピオンだ。
荒川のスケーティング技術は本物だった。スパイラルは芸術的で、それが彼女のスケーターとしてのキャラクターも引き立たせていた。静謐な演技者であり、メンタル的にタフだっただけに、現代の勝負でも違いを見せられただろう。観衆の熱気をエネルギーに変換できたからこそ、オリンピックという舞台で金メダリストになれたのだ。
ミラノ・コルティナ五輪で日本の3人のスケーターたちは荒川の域に達することができるか。メダル争いは永遠のドラマだ。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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