【ミラノ五輪】20年前の荒川静香の金メダルが色あせない理由 坂本花織、千葉百音、中井亜美はその域に達せるか (2ページ目)
【技術は革新の一途をたどっているが...】
トリノ五輪の荒川は、SPが66.02点で僅差の3位につけた。その構成は、冒頭のジャンプは3回転ルッツ+2回転トーループだったが、今だったらセカンドは3回転をつけられないと上位を争えない。たとえばアリサは3回転ルッツに3回転ループをつけ、さらなる高難度をこなす。
その後のダブルアクセルは危なげなかったが、現在は中井のようにSPからトリプルアクセルに挑む選手も増えている。また、坂本は爆速のスケーティングを続けながら、ジャンプ前後の工夫も極まる。
フリーで荒川は125.32点を記録したが、3回転ルッツ+2回転ループ、3回転サルコウ+2回転トーループだった。後半の3回転ループは2回転になっている。後半の見せ場、イナバウアーからの3連続ジャンプなど演技が途切れず、美しさは今も気高さを感じるほどで、演技構成点も高く、スケーティングスキルはトップだ。
しかし、繰り返すが、今や3回転のセカンドには3回転をつけるのが上位争いの基本である。たとえば今回の五輪団体フリーでは、グバノワは3+3を跳び、アンバーが3+2だったことが、勝敗を左右していた。ここはメダルを争うひとつのラインと言える。
もっとも、実は荒川も3+3を果敢に跳んでいたし、トリノでも自身は跳ぶ気満々だったという。しかし、ロシアのイリーナ・スルツカヤやアメリカのサーシャ・コーエンなどライバルたちとの拮抗した戦いを考慮して、ニコライ・モロゾフコーチからの指示で3+2に切り替えている。勝負を考えたとき、着実にポイントを稼ぐ構成を選択したのだ。
いわば、勝つための最善の戦術だった。
言い換えれば、もし荒川がミラノのリンクに立ったら、勝利に求められる最善を尽くすのではないか。
2 / 3

