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鍵山優真は「デリケートになりすぎてしまう」と父・正和コーチ 五輪へ向け「自信」が課題 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【ナチュラルでいることが大事】

「大きな舞台で自分の弱さを実感した」と話す鍵山。だからこそミラノ・コルティナ五輪へ向けての課題をしっかり把握できた。

「前回(北京五輪)銀メダルだからといっても、守りに入ることはまったく考えていないし、自己ベストや勝ちを求めた攻める姿勢がすごく大事だなと思っています。4回転フリップの練習は続けるし、(演技に)入れたいという気持ちはすごく大きいですけど、1カ月でなじむかどうかというところ。

 フリップに限らずどのエレメンツでも、自分が今持っている技術を全部出さなければいけません。ショートもフリーも全力で血がにじむような努力でやっていかなければいけないと思うので、日々後悔しないような生活を送って五輪という舞台を全力で楽しみたいです」

 こう話す鍵山は、昨季はとくに「エースとはどうあるべきか」ということを考えていたという。「これまでのエースと言われた羽生(結弦)くんや(宇野)昌磨くん、大ちゃん(高橋大輔)のレベルにはまだ全然到達できていないというのが現状だと思います」と話すが、身近に接した羽生や宇野を見ていたなかで、それぞれの姿勢の違いも感じた。

「その姿を見て自分も育ってきたなかでいろいろ考えて解釈したうえで、自分はナチュラルでいることが一番大事だという結論に至った。行動と胸を張った立ち姿で自分なりの今の立場をつくり上げていけたらいいのかなと思います」

 こう決意する鍵山にとって幸運だったのは、今回ともに代表になった佐藤駿と三浦佳生が、ノービスやジュニアの頃から切磋琢磨してきた身近な存在だということだ。

「佳生くんは明るめだし、おしゃべりで、駿は逆に口数が少なくて気持ちを表情にも出さなかったりして、そのなかに僕がいて本当にバランスがいい。3人でいるとすごく落ち着くし、自然体でいられる関係性なので、五輪でも変に気を張らず、自然に雰囲気を楽しめるのではないかなと思います」

 互いを刺激し合い、信頼し合う関係性のなかでのびのびと戦うことができれば、鍵山もおのずと自身のエース像を確立することができるだろう。そして2度目の五輪を、より充実させられるはずだ。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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