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坂本花織も「人として尊敬」 GPファイナルを制したアリサ・リュウは「シン・天才」 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【シン・天才が醸す自信】

 かつてリュウは「天才少女」と言われ、13歳にして全米女王に輝いている。ジュニア時代にトリプルアクセルや4回転ルッツにも成功し、旋風を巻き起こした。2022年の世界選手権では16歳という若さで3位になった。しかし直後、「目標が達成できました」とあっさりと一度目の引退を発表した。そして復帰した昨シーズン、いきなり世界選手権で優勝している。

 天才という称号は、しばしば有り余る才能を持て余す早熟の選手に用いられやすい。しかし、彼女の破天荒なキャリアは想像を超えている。「シン・天才」と言うべきか。楽しさ全開だったリュウが、GPファイナルの金メダルを勝ち取れたのは必然かもしれない。

「Confidence(自信)」

 リュウは、その言葉を取材エリアで何度か使っていたが、2位でスタートしたショートプログラム(SP)だけでなくフリーでも、自信は際立っていた。恐怖や不安など寄せ付けない。魔物をはらってしまえるほど、泰然自若とした"楽しむ気配"を放っていた。

「Go, Alysa!!」

 会場からの声援に、「任せて」と答えるような表情を見せる。家族に見守られるように、リビングでダンスを披露する少女のような自然体だった。

 冒頭の3回転フリップから、とにかくジャンプでの回転速度が速い。また、スケーティングはキレがあるなかでゆったりとした動きもできるだけに、その緩急で観客を引き込む。3回転ルッツ+3回転トーループは回転不足を取られたが、3回転サルコウ、3回転ループと次々に着氷した。

 後半になっても、動きは落ちない。3回転ルッツ+ダブルアクセル+2回転トーループ、3回転フリップ+2回転トーループとコンビネーションジャンプを次々に成功。最後はダブルアクセルで締めた。スピン、ステップはすべてレベル4で、エレメンツが流れのなかに取り込まれていた。それが演技の美しさを醸し出させるのだ。

「私はとてもうれしい気持ちでいます。(安定した演技は)トレーニングの賜物と言えるでしょう。氷の上でのセッションだけでなく、陸やジムトレーニングも頑張ってきました」

 リュウはそう明かしたが、じつはSP、フリーはどちらも1位ではなかった。それぞれ2位、3位と大崩れしなかったことが、金メダルをもたらした。SPの1位は千葉百音、フリーの1位は坂本花織だが、2つを高いレベルでそろえることの難しさが出た。

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