アイスダンスデビューの紀平梨花「頑張れることが本当に幸せ」 西山真瑚との「りかしん」で2030年五輪を目指す (3ページ目)
【3位表彰台も悔しさを噛み締めた】
翌11月2日朝の公式練習でもエレメンツを一つひとつ確認し、堂々と落ち着いた様子だった。フリーダンスの『もののけ姫』の音楽を練習から丁寧に滑りで紡いでいた。このまま何事もなく本番を迎えるのだろうと思われたが、本番直前、西山に思いがけない出来事が起こった。
5分間のウォーミングアップのあと、西山はバックヤードでスケート靴を脱いで調整を行なっていた。出番が近づき、スケート靴を履こうとした瞬間、靴ひもが切れたのだ。そこから西山はダッシュで男子更衣室まで予備の靴ひもを取りに行き、新しいひもに取り替える作業に入る。その西山の手元を紀平がスマートフォンのライトで照らし、見やすいようにサポートする。そんな抜群のチームワークでハプニングを乗り越え、ふたりは無事に本番に臨むことができた。
そして、フリーダンス本番では『もののけ姫』の壮大な曲で強さ、美しさを見せた。冒頭のワンフットターンシークエンスはスピードをよく保ち、プラス評価を得た。コンビネーションリフトやツイズルに乱れがあったものの、デビュー戦とは思えないほど落ち着いていて、最後までしっかりと滑りきった。
だが、紀平は「練習でできていた演技ではないので、悔しいという思いがまず初めにくる」と振り返った。
「自分の気持ちの状態や試合の感覚はすごくいい状態に持っていけていたので、そこがすごくよかったなとは思うんですけど、もっともっと、これがスタートとしてあとは上がりきりたいです」(紀平)
西山も「フリーダンスに関しては悔しさが残るものとなりましたが、ここまで試合に向けて一緒に取り組んできた練習や大会に向けて調整してきたものは絶対これからにつながるものになる。これを糧にして全日本に向けて頑張りたいと思います」と今後への意気込みにつなげた。
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