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【フィギュアスケート】坂本花織はロシア選手を警戒「ガンガン4回転も跳んでくるはず。覚悟を決めて挑む」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【五輪出場のロシア選手に覚悟を決めて挑む】

 記者会見で掲げた「総括」という今季のテーマ。坂本はそのテーマについて「もう最終形態という感じだけど、いつもどおりに追い込んでしっかり練習を積み、試合で成績を残せば自分の思い描いている結果にたどり着くのではないかなと思っています」と冷静に捉えている。

 その思い描く結果とは......。

「一番は、ミラノ・コルティナ五輪で、団体も個人も銀メダル以上を獲得する。それをずっと目標にやっています。でも最後だからといってとくに何かプラスするというわけでもなく、本当いつもどおりに」

 9月の五輪最終予選では、ロシアのアデリア・ペトロシアンが中立国枠で1位になり、出場権を獲得した。その演技は4回転やトリプルアクセルがない構成で合計209.63点と平凡ではあった。

 だが坂本は、「(ペトロシアンの)メリハリと若さのある動きが久々の感覚だなと思ったし、今回はとりあえずまとめて通過するというのであの構成になったと思います。本番になったらガンガン4回転も跳んでくるだろうというのは丸見えなので、こちらとしても覚悟を決めて挑んでいきたいなと思っています」と笑顔で話す。

「(所属する)シスメックスのリンクができてからは練習量も増えたので、逆にしっかりオフを取ることによってメリハリつけて過ごすことで、練習の質も上がっていると思います。滑ると決めたらとことん滑って、休む時は思いっきり休む感じでやったらかなりいい練習が積めるようになった。本当に今の環境はすばらしいなと思います」

 そんななかで、これからどうピークをつくっていくかという質問には、「GPファイナルまでというより、できればフランス大会から『今年いいじゃん』って言われたいですね。ショート75点とフリー145点を超えられるように頑張ります」と答えた。

 また、ふだんの練習でのエピソードも明かした。

「中野園子先生はいつもどおりですね。よく、『追い込んで苦しいとか言っていられるのも最後や』とか言われて、『まあ、そうやけどなあ』と思いながら練習をしているけど、ふとした瞬間に(中野が)『こういうのもきっといつか思い出すやろうね』みたいな話を、ちょっとエモい感じで練習中に話するから、『え? そういうモードで行く感じですか』みたいになって。

『いや、でもそんな話している場合とちゃうな』と思っていると、いつもどおりに『はい、曲をかけるよ。フリー』みたいな感じでバンバン曲をかけられています。ちょっとエモくなるかと思いきや、やっていることはいつもと変わらずにゴリゴリ、ビシバシしごかれています」

 そう言って記者たちを笑わせた坂本は、リンク上でもリンク外でも、らしさ全開で突っ走りそうだ。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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