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フィギュアスケート・樋口新葉が引退表明 「すべて出しきる」ラストイヤーで表現する人生讃歌 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao / Dream on Ice 2025

【すべてを出しきるシーズン】

「一つひとつの試合がすべて最後だと感じながら、次に進めるようにしたいですね。自分が今までやってきたことが間違ってはいなかったと思えるように。納得できるような演技を」

 樋口はそう言って、ラストシーズンへ挑む。

「昨シーズンもやめようかなと思いながらのシーズンでしたが......(今年3月の)世界選手権に出場し自分で獲った枠をもう一回使いたい、今シーズンまでは頑張ろうって思いました。それに北京に行った時、もう一回オリンピックで滑りたいという思いもあって。メンタル的にも自分は弱いところがあるので、今シーズン限りって決めることで、すべてを出しきれるんじゃないかなって思いました」

 樋口は凛と背筋を伸ばして言った。"今季限りでスケーター人生の幕を引く"と縛りをつけることで、最後を最大限に輝かせる。ミラノは、約束の舞台だ。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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