佐藤駿を襲った全日本フィギュアスケートの魔物「あれっ、なんで?」世界選手権へ「同じ失敗はしない」 (2ページ目)
【"あれっなんで?"想定外のミスに動揺】
「フリーはもう何も守るものはないので、4回転4本の構成で攻めて、失敗してもいいぐらいの気持ちでいこうかなと思っています」
そう決意を口にしていた翌日のフリーだが、気持ちを切り替えられなかった。
「GPファイナルから帰ってきたあとの1週間は本当にいい練習ができていて、1日40分だけの練習でも不安は感じないくらいに仕上がっていました。会場入りしてから初日もすごく調子がよかったので、ショートでの失敗が"あれっ、なんで?"と思ってしまって。自分のなかでは本当に失敗するとは思っていなかった......。すごく動揺してしまって、フリーまでなんでだろうと考え続けてしまいました」
フリーの演技前に心のなかを占めていたのは、恐怖感だった。2019年に初優勝を狙った全日本ジュニア選手権で、SP3位発進のあと、フリーの演技で今回の全日本と同じ気持ちとなり、優勝を鍵山に明け渡し2位に終わった。佐藤は「あの時と同じだった」と話す。
「試合に対しての怖さのようなものが一気にきてしまった。緊張ももちろんあったけど、怖さのほうが強かったと思います」
フリーの演技は、SPのような硬さは見えなかった。だが、冒頭の4回転ルッツで転倒。続く4回転フリップはステップアウトし、4回転トーループ+3回転トーループも4回転の着氷で手をついて、連続ジャンプにできなかった。
その後、4回転トーループに3回転トーループをつけてリカバリーを図ったが、次の3連続ジャンプは3本目の3回転サルコウがダウングレードで転倒。最後に予定していた3回転ルッツ+ダブルアクセルも、ルッツに怖さを感じたのか、3回転ループに変更してしのぐ滑りに。得点は7位の148.90点。合計も今季自己ワーストの230.80点で総合7位だった。
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