ロシア女子は年齢制限引き上げでどうなるのか。フィギュアスケート国際審判員に聞く (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

日本女子には有利に働くのでは

 15歳から16歳へ、そして17歳へと段階を踏んでシニア入りできる年齢制限をしているのは、今季いきなり17歳にしてしまうと、昨季シニアに出ていた一部の選手が出られなくなってしまうからです。昨季はシニアに出られたのに、今季はジュニアに戻れというわけにはいかないからでしょう。

 たとえば13歳の島田麻央選手は、この年齢制限のルール変更によって、次回2026年ミラノ・コルティナダンペツォ五輪への出場資格がなくなります。島田選手がシニアに上がる時には、同年齢のロシアの有望なライバル選手たちも一緒に上がってくることになります。島田選手はジャンプをしっかりと跳んでいるスケーターですし、おそらくその時までには、しっかりと身体を作ってくるでしょうから、17歳になってジャンプを跳べなくなることはないのではないかと思います。

 女子選手は、身体的な部分で大人の身体になる前に、ある程度、トリプルアクセルや4回転の跳び方をできるようにしておかないと、シニアになってから跳ぶには難しいという事情があります。ひと昔前、「シニアになる前に3回転ジャンプはひと通り全部跳べるようにしておくことが重要だ」と言われていたことと同じです。ただし、近年はちょっとジャンプの難度が全体的に上がっていますが。

 ノービスでジャンプを跳べる日本の選手たちは、細身で体を締めやすくして回転のスピードで勝負するロシア選手たちよりも、ジャンプの高さも含めてきちんと跳べるようにしようとコーチの先生方が指導しているように見えます。ジャンプの質を考えたら、年齢が上がっても跳べると思うので、シニアに上がってきた時にしっかり勝負できるだろうとは思います。

 日本の女子でもトリプルアクセルを跳ぶ選手は増えてきましたし、ノービスからジュニア、あるいはジュニアからシニアに上がるぐらいの年齢で、高難度のジャンプを跳ぶようになっています。彼女たちが4回転を跳べるようになるのも、そんなに先の話ではないだろうと思います。ちょっとロシアに遅れをとってはいましたが、今回のルール変更はそういう意味では有利に働くのではないかなとは思います。

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