宇野昌磨「まだスケートしているのかよ!って思われるくらい続けたい」。世界王者になっても「人生は変わらない」 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Kyodo News

食生活を「普通」に変え、絞った体

 今シーズン、宇野はグランプリ(GP)シリーズ、全日本選手権、北京五輪団体戦、個人戦、そして世界選手権と突っ走ってきた。どれも優勝を争う成績で、五輪では2つのメダルを獲り、ワールドチャンピオンにもなった。

 体力面だけでも傑出だ。多くの選手は長いシーズンを戦うに従い、体にガタがくる。何より、精神的にも激しい消耗を感じさせる。結果的に、ケガもしやすい状態になるのだ。

 ところが、宇野は尻上がりに調子を上げ、神がかった心身の充実が見られる。

「6年前にシニアデビューした時、体重を計っていて。それと照らし合わせると、身長は同じなのに今は3kgも多くなっていて。昔のほうが痩せているのは、自分はうれしく思わないので」

 そう語った宇野だが、ストイックという枠組みにはめられるのを避けたいのか、やんわりと答えの角度を変えた。

「1年前の世界選手権が終わった時、すごく太っていて。今も嫌いな物は食べないですけど、食生活を普通に近づけてきました。だから意識して絞ったのではなく、もともとの食生活があまりにひどかっただけで。特に飲み物は『レッドブル』ばかり飲んでいたので、お水やお茶に変えました(笑)」

 結果として、1年で体を絞れたのは間違いない。フィジカル的な安定で、積み上げてきた技術を出せるようになった。「成長したい」と繰り返してきた意欲に追いついた。弾むような躍動が、世界選手権での世界歴代3位の得点に繋がったのだ。

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