本田真凜、望結姉妹が語った絆。結果は不満でも「スケートはやめられない」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao(a presto)

「フリーの前は本当にどうなるかなという感じでした。直前の練習で試合の感じをあまりつかめていなくて、6分間練習で全部のジャンプを跳んで仕上げるというのが間に合わなくて、6分間が終わって(その組の)最後の滑走だったので、30分くらい時間があって、どういうふうに自分が過ごしていたのかも、あまりわからなかったです。

 とりあえずは(結果が出たので)ほっとしていて、2週間後に東日本選手権があるので、そこまでには元の構成に戻して、しっかり全日本選手権に行けるようにしたいなと思うので、あと2週間で頑張りたいなと思います」

 昨季は真凜にとっては試練のシーズンだった。10月のこの大会ではフリーの音源が間違って流れるハプニングが。全日本選手権の出場権は獲得したが、大会直前にめまいの症状を発症するアクシデントに見舞われて棄権を余儀なくされた。その後は体調のこともあって、今年3月までジャンプ練習はまったくしなかった。アイスダンスの靴を購入して滑るなど、自分を再確認するための時間を作り、自らの気持ちと向き合った。

「2週間くらい毎日アイスダンスの練習をしていたんですけど、それをきっかけに『あっ、スケートって楽しいんだな』とまた思いました。スケートのなかでも違う競技に出会えてよかったなと思ったんですけど、いろいろ考えた上で、また(シングルの)試合に出て選手としてアスリートとして頑張りたいなという気持ちになったので、大学生が終わるまでしか自分のなかではないかなと思うんですけど、ひとつひとつの試合を全力で、また輝けるように頑張りたいなと思っています」

 コロナ禍のために練習拠点を日本に戻し、週末は実家のある関西で本田武史コーチに、東京の大学に通っている時は新横浜を拠点にして佐藤信夫、久美子コーチらに指導してもらうようになった。大学2年生の20歳になった真凜に今季の目標を尋ねたら、こんな答えが返ってきた。

「スケート生活の目標としては、何かの試合で結果を残すよりも、いま自分が一番大事にしているものだったり(を大切にして)、すごく簡単そうで難しいことなんですけど、自分らしく、何の気負いもなくいい演技ができればいいなと思います。

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