宇野昌磨「一番難しい構成になると思っています」。北京五輪シーズンへの楽しみを語る (2ページ目)
宇野はそう言って、自らの戦い方を見据えていた。単純な強さよりも、純真にスケートを楽しめるか。自分を裏切れない性分だ。
五輪シーズンも、宇野に力みはない。
前回の2018年平昌五輪、宇野は20歳で初出場し、銀メダリストになっている。ショートプログラム(SP)、フリーともに3位だったが、トータルで2位。フリーでは冒頭のジャンプは転倒も、美しいトリプルアクセルから疾走した。自分を信じ切った時の演技は、輝きを身にまとった。
以来3年半、宇野は少しも守りに入っていない。2018年12月の全日本選手権では足首を痛めていたにもかかわらず、決然と演技に挑んだ。優勝後、彼はこう明かしていた。
「6分間練習ではあまりに何もできず、笑っていました。辛い、悲しい顔をしても誰も得はしないので、これはやるしかない、とだけ思って、追い込まれた時に初めて、本当に自分を信じられたのかもしれません」
宇野は厳しく自分と対峙してきた。少しも満足せず、さらなる飛躍を求めた結果、コーチ不在の事態に陥って苦しむこともあった。しかし冒険を挑んだからこそ、ステファン・ランビエルコーチとの出会いも生まれた。それは2019年12月の全日本選手権4連覇にもつながっている。
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