2020.12.30

羽生結弦の決意。「光」に手を伸ばし、生きる活力を伝える

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

全日本選手権後のアイスショーでアンコールのSP演技を披露する羽生結弦 新型コロナウイルス感染拡大を受け、羽生結弦は感染リスクを考慮し、グランプリ(GP)シリーズの欠場を決めた。自身の行動を自粛することで、ファンやメディア、関係者らが移動に伴う感染のリスクを減らしたいという配慮もあった。

 そうした中、出場を決めた12月25〜27日の全日本フィギュアスケート選手権。だが、感染の第3波の中での開催となり、「自分が出てもいいのか」との葛藤があったと、競技前日の公開練習後に吐露していた。そして、5年ぶりの優勝を果たした後も、その思いは消え去っていないと話した。

「僕の望みはとても個人的なことなので、貫いてよかったのかとの葛藤は今でもあります。ただ、自分としては、もし(来年3月の)世界選手権が開催されるのであれば、(大会に向けて)近づいておかなければ今後が難しいという思いがすごくあった。コロナ禍の暗い世の中でも、自分自身がつかみ取りたい"光"に手を伸ばしたという感じです」

 開催されることになれば、世界選手権で2022年北京五輪の国別出場枠が決まる。そうした大切な大会への出場権を争う全日本選手権に、日本男子フィギュアを牽引する者の責務として参加した面もあったのかもしれない。

 外出自粛時期には、これまでにないほど精神的に落ち込むことがあったという。コロナ感染を避けるために国内に残り、細心の注意を払いながら練習や生活をする状況。自分の指導のためにカナダからコーチに来日を依頼するべきではないと考え、コーチ不在のリスクを承知しながらも、ひとりで練習することを選んだ。