2020.12.29

紀平梨花、4回転成功後も「まだ10点以上伸ばせる」。ロシア勢から刺激

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao(a presto)

 フィギュアスケートの全日本選手権女子フリーが行なわれ、ショートプログラム(SP)で首位に立った紀平梨花が4回転サルコウを初めて決め、フリーでも1位の154.90点をマークして、合計234.24点で大会2連覇を飾った。日本女子の4回転ジャンプ成功は、2003年の全日本選手権で跳んだ安藤美姫以来17年ぶり。安藤は当時ジュニアの選手で、日本女子シニアとしては初の4回転ジャンパーが誕生した。

 淡い紫色のコスチュームに身を包んだ紀平が、プログラム冒頭の最初のジャンプを勢いよく跳んだ。無駄な動きは微塵もなく、軽やかな跳躍から4回転を決めて着氷も流れるように降りた。試合で初めて成功させた4回転サルコウ。待ちに待った見事なジャンプだった。

全日本選手権フリーで4回転サルコウを決め、優勝を飾った紀平梨花全日本選手権フリーで4回転サルコウを決め、優勝を飾った紀平梨花  続いて代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)もしっかりと跳んだが、回転不足の判定を受けた。それでも、そのほかのジャンプではミスなく、『ベビー、ゴッド・ブレス・ユー』の透明感のある優しいピアノの音色をしっかりと表現して演じきった。演技後は右手を高々と突き上げてガッツポーズ。はにかんだ笑顔が満面に広がった。

「決めたいと思っていた4回転サルコウがきれいに決まったことがすごくうれしい。思っていたよりも冷静で、今回跳ばないと次に進めないくらいの気持ちでした。4回転サルコウでミスが出たら、他のジャンプもミスが出ると思っていたので、跳ぶしかないという気持ちがあった。跳んだ後は計画どおりに落ち着いてできました」

 素直に喜びをかみしめたが、成功できるという自信と確信があったに違いない。なぜなら、続けてこうも話していたからだ。

「北京五輪に向けて、4回転サルコウを試合で決めたいという思いがすごく強かったので、オフシーズンからずっと練習やトレーニングを頑張ってきていたので、いままでのすべての行動が、試合のあの一瞬につながっていたことがすごくうれしいです」

 今季はスイスを練習拠点にして、筋力トレーニングを中心に励んできた。コロナ禍の影響で出場を予定していた試合がキャンセルとなり、自分が取り組んできた練習の成果を発揮する場を失って、モチベーションを維持することが難しい状況だったという。それでも、諦めたり投げ出したりしないで4回転のジャンプ練習を繰り返した。4回転サルコウの完全習得のために黙々と筋力トレーニングに取り組み、肉体改造も図ってきた。