宮原知子はリンクで気品が滲む稀代のスケーター。「前を向いています」 (3ページ目)
宮原は曲の物語世界にいざなう数少ないスケーターだ「最初はよくて、"いける"って強気だったんです。でも、途中から(調子が良すぎて制御できず)やばいって思い始めて......」
宮原は訥々(とつとつ)と話した。
心配された"先走り"が、精密な歯車が狂わせることになった。冒頭のダブルアクセルは華麗に決めた。3回転ルッツ+3回転トーループも、回転不足は取られたものの、切り替えられたはずだ。
しかし、焦りが彼女をむしばむ。その後のジャンプでことごとく、回転不足を取られた。
気が急いた正体は、極限までジャンプを高めなければ、という心理的な切迫か。連鎖で、得手のスピンやステップまで綻びが出た。
「(今シーズン)練習ではうまくなっているし、技術的にはよくなっている感触はあります。(回転不足の)ジャンプの跳び方は大きく変えていません。いい時は回転がつくのですが......。
自分の世界観を見せたかったですが、あまりに悪すぎて。ループでは、練習でもしない失敗をしてしまった(得意の3回転ループが2回転ループに)」
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