紀平梨花、四大陸選手権で4回転回避。貫いたのは勝利にこだわる強さ (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「今日(8日)、起きたときの疲労がすごかった。(試合前の)公式練習でアクセルとかほかのジャンプがゆがんでいることが多かったので、そっちを修正しないといけなかったから、4回転サルコウを練習している場合じゃないなというか、ほかのミスは許されないのに、サルコウをやることでもっとほかのジャンプの調子が変になったら嫌だった。だから、練習が終わったときに4回転を跳ばないと決めました。

 4回転を跳ばなくて正解だったなと思いますし、4回転サルコウは、練習でやらない時点で絶対にやってはいけないと思ったので、入れたかったけど、自分で跳ぶ自信がない限りは入れたくない。絶対に跳べるって思った時にしか入れたくないので......」

 そんな思いで4回転を跳ばなかった。ただ、それによって余裕を持った滑りができるかと思いきや、続くトリプルアクセルでは回転が抜けて1回転半のミスとなった。

 しかし、日本のエースは簡単には崩れない。4本目のジャンプで2度目のトリプルアクセルをしっかり連続ジャンプにして成功させた。1.1倍のボーナス点となるプログラム後半では、予定していた3回転ルッツを跳ばす、3回転フリップ+3回転トーループ+2回転トーループの3連続と、練習を積んできた得意の3回転フリップ+3回転トーループの2連続を跳んでみせた。見事なリカバリー力を発揮して、得点を積み重ねて勝利を引き寄せた。

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