樋口新葉、ダイエット成功で復活。「新しい発見、大事だな」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 不振に陥った一番の原因は、シニア転向後に、体が一気に大きくなって体重増加に苦しんだからだろう。滑り全体にキレがなくなり、ジャンプでも失敗が多くなった。取り組みたいと言っていた大技のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は、練習さえしない状態だったようだ。

 甘いものが好きで、チョコレートやアイスクリームが好物だという18歳は、育ち盛りで太りやすい体質。ここ1年半ほどは体重のコントロールに気を配るあまり、ストレスもたまっていたようだ。しかし今季は、オフシーズンから食事調整などでうまく体重コントロールができるようになり、ここにきてようやくその取り組みの成果が出てきた。

「体重を減らしたり、筋肉を増やしたり、体脂肪を減らしたり、体重コントロールをすごくしてきました。トレーニングではケガをしないように、弱い部分、痛くなりそうなケガにつながるような部分の筋力や腱を強くしていきました。

 食事面の調整もそうですけど、練習量も増やして、トレーニングも増やしてという感じでした。1週間でバーンと何キロも減らすというより、3カ月かけてだんだん落としていく感じだったので、あまり自分では体重変化を感じることはなく減らしていけたので、すごくいい練習ができたと思います」

 さまざまな取り組みが、ようやく実を結び始めたようで、以前のようなストレスもなく、厳しい練習にも耐えられる心の余裕も生まれた。記者から「この3カ月で何キロくらい減らしたのか?」と質問を受けると、「それは言えないです(笑)」と明るく答えていた。

 フィギュアスケートでは体重が重いより軽いほうが有利であることは言うまでもない。体重の軽減はどんな作用をもたらせたのか。樋口は実感を込めてこう語る。

「ケガが少なくなったというか、ゼロになった。自分では最初あまり実感がなかったのですが、ふとしたときに、軽いことでジャンプも跳びやすくなったし、体力ももつようになったなと思います」

 不振だった昨季のシーズン後半戦は、大舞台の国際大会に出ることができなかった。だから、今年は世界選手権などの代表選考会を兼ねた全日本選手権で是が非でも結果を残して、代表切符を勝ち取るという目標を掲げていた。

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