苦悩するザギトワ。17歳の女王は「技術」で4回転時代を戦い抜く
NHK杯ショートプログラムで4位のアリーナ・ザギトワ 11月22日、真駒内アイスアリーナ。取材エリアに出てきたアリーナ・ザギトワ(17歳)の表情は硬かった。
「緊張したわけではなくて、アドレナリンが足りませんでした」
右手でおでこに手を当て、顔の火照りを冷やすと、ロシア語で説明している。どこか悄然とした様子だった。
「私はこのような失敗を今までもしてきました。大会で、大きなミスをしたこともあります。それを乗り越えてきました」
その気高さを保つように言った。
NHK杯、ショートプログラムでザギトワは冒頭、3回転ルッツ+3回転ループの連続ジャンプが単独になっている。いくらか慎重になったのは、同じグランプリシーズ、フランス杯で一本目がエッジエラーになった影響があったのか。3本目のジャンプに3回転ループをつけようとしたが、1回転になってしまい、リカバーできていない。得点は伸びず、66.84点。トップのアリョーナ・コストルナヤ(16歳)に20点近く引き離され、フリーを前に4位に低迷した。
世界女王は弱音だけは吐かなかった。笑みさえも拵えた。そうやって見せることが、女王としての自分を支えるのだと、自ら信じているようでもあった。
NHK杯、前日の公式練習。リンクに立つザギトワは、穏やかな表情だった。心身充実の表われか、1番に白い上着を脱ぎ、全身、黒づくめになった。黒い手袋に包まれた指を、その先まで神経を行きわたらせる。
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