宮原知子、ファイナル出場を逃すもショックはなし。前向きに全日本へ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 それでも、しなやかに表現する宮原の演技は観客の心をつかむ流麗なものだった。3回転フリップからの3連続ジャンプのフリップで転倒した時は、宮原の滑りに見とれていた観客が悲鳴を上げるほどだった。

 最終的なジャッジスコアでは、転倒した3回転フリップを含め、7本中5本で回転不足をとられた宮原。フリーの得点は129.33点にとどまり、合計は192.42点。2017年11月のNHK杯以来となる200点を下回る結果になってしまった。

「映像を見たら仕方ないなと思うジャンプもありましたが、これは大丈夫かなと思うものもあった。それでも回転不足を取られたことには変わりないので、そこは頑張るしかないと思います」

 宮原自身がこう話すように、今季は判定が厳しくなっているのは事実だ。それでも「直すところがたくさんあって、練習しなければいけないこともたくさんあるということは、まだまだ伸びるということだと思う」と宮原はあくまでもポジティブだ。

「年々自分のプログラムが難しくなっているというのも感じますし、総合的にいろいろなことを考えるようにもなった。難しいことは難しいけど......、今シーズンはジャンプもスケーティングも含めて全体的に頑張ろうと思ってやっています。一番いい感じで練習ができている感覚はあるので、前向きに行きたいと思います」

 宮原は中国杯で2位になったあと、見つかった課題を克服する練習が十分にできないまま連戦でロステレコム杯に臨む状況だった。そのため、ファイナル進出は「出られたらラッキー」と考えていた程度だという。そのため、出場を逃したことにショックの色は見せていない。

「もちろんファイナルも大事ですし、『もっとできたな』という思いはあるけど、全日本選手権も大事なので......。去年5連覇を逃して3位だったから、今回は優勝したいという気持ちはもちろんありますけど、一番は世界選手権に行きたいというのがある。そのためにも、全日本では自分ができることを出せるようにしていきたい」

 今回はジャンプの回転不足を取られたが、以前のような失敗はしなくなった。その点では「やってきたことを信じることが一番必要で、メンタルの問題だと思う」と宮原は言い切る。

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