宇野昌磨は新たな自分の可能性を見つけたい。
環境を変えて果敢に挑戦

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 7月15日に公開された、日本スケート連盟のフィギュアスケート・シニア合宿。宇野昌磨は、この日2回目の午後の練習で積極的に4回転の練習に取り組んでいた。体慣らしのダブルアクセルや3回転サルコウ、3回転ループを跳んだ後は、トリプルアクセルを3回決める。さらに4回転トーループを跳んで、4回転フリップ。3回ミスをしたあとできれいに決めると、次は4回転サルコウに取り組み、トリプルアクセル+4回転トーループへと進む。

新シーズンへの想いを語った宇野昌磨新シーズンへの想いを語った宇野昌磨 70分間の練習の終盤20分ほどは、スピンの練習を何度も繰り返した。終了近くになると、フェンス沿いで談笑をしていたステファン・ランビエルコーチのところへ行き、上体を柔らかく大きく使うスピンの体の動かし方を乞うた。

 そして、ステファンがやって見せた、上体の動きを大きく切り替えるスピンにも挑戦。何度か転倒して苦笑いを浮かべた宇野だったが、最後にそれを成功させると、ステファン以外にも、ちょうど近くにいた友野一希と島田高志郎も拍手で祝福。照れくさそうな笑みを浮かべる姿は、心の底からスケートを楽しんでいる雰囲気が伝わる光景だった。

 今年6月、5歳から指導を受けていた山田満知子コーチと樋口美穂子コーチの下を離れ、海外を拠点に移すことも視野に入れて今後の道を探す、と発表した宇野は、ロシアの女子有力選手が集結するエテリ・トゥトベリゼコーチのサマーキャンプに1カ月間参加した。

「最近は自分で考えて練習することがほとんどでしたが、『これをやりなさい』と言われたのは久しぶりで、『環境に合わせるような練習は本当に小さい時以来だ』と思いながらやっていました。ずっとジャンプの練習だったのですが、それだけやってもケガなく終えることができたので、『自分はまだまだ練習できる』とも思いました。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る