フィギュア超絶マニアが、羽生結弦の金メダル演技を異常に細かく分析

  • 高山 真●文 text by Takayama Makoto  photo by JMPA/Noto Sunao

 激動の2017-18フィギュアスケートシーズン、五輪イヤーで例年以上に緊迫した戦いが続くなか、選手たちは数々の感動的な演技を見せてくれた。

 そのなかでも一番のクライマックスは平昌五輪男子シングル、羽生結弦のショートプログラムではなかろうか。ケガのために選考会や前哨戦には出場できないまま、本番を迎えた前回王者。ケガは治っているのか? ブランクは影響ないのか? 大舞台でどんなパフォーマンスを見せるのか――。

 世界が注目し、手に汗したその演技を、『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』で多くのファンの共感を呼んだエッセイスト高山真氏はどう見たのか、改めて回顧してもらった。超絶マニアックな視点とフィギュアスケート愛にあふれる文章に、あの緊張感と感動が再びよみがえる。

平昌五輪で渾身の演技を見せてくれた羽生結弦平昌五輪で渾身の演技を見せてくれた羽生結弦

 平昌オリンピックが終わって2カ月半あまり経ちました。振り返ってみると、「本当に奇跡のような時間だった」と思うばかりです。男子シングル、女子シングル、ペア、アイスダンス、すべてのカテゴリーで、あれほど密度の濃い試合を観ることができたのは、スケートファンとしてこのうえもない幸せだったと、今でも思います。

 男子選手でいえば、パトリック・チャンに「オリンピックの金メダリスト」の称号がついたこと(カナダが団体で金メダル)、そして、羽生結弦が男子シングルで二連覇を成し遂げたこと......。チャンも羽生も、私にとっては「超」がつくほど好きなスケーターですから、両方の結果に心からの拍手を送ったものです。

 オリンピックで羽生結弦が見せてくれた演技を、私は今でも折にふれ見返しています。ショートプログラム、フリーとも、何度も繰り返し鑑賞するに値する、驚異的なプログラムですが、今回は、「羽生結弦のショートプログラムの素晴らしさ」を改めて振り返ってみたいと思います。

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