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フィギュアスケート界の名伯楽が語る
「初心者にまず教えること」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 ちゃんと立ち上がれたらリンクへ連れていき、氷の上に立たせます。「こんなツルツル滑るんだ」ということを味わったら、そこでまた足踏みから始め、ちょっとずつ、ちょっとずつ、つま先を開きながら、右足、左足と出していく。そこでポンと両足に体重を乗せると、スーッと滑っていきます。そうやって「滑る」ということを体に植え付けていくんです。

 しばらくすると、だんだんと勝手に滑るようになっていきます。そこではとにかく事故が起こらないように安全に教えていくことが重要です。もし事故が起きたら、もう怖がってしまい、やめないまでも、スケートに対して身構えるようになります。すると自然なスケートを覚えることができなくなるのです。その意味で、最初の一歩がものすごく大切です。

 その一歩を踏み出した後の「スケーティング」で、僕が一番大切にしているのは、「サークルを描く」ことです。氷に円の弧を描く。昔のコンパルソリーです。

 体重がエッジに乗ったら弧を描くようになります。たとえば10円玉を転がすと、必ずどっちかに回っていって倒れるじゃないですか。右か左か、どちらに倒れるか分かりますか? 転がした時には分からないのですが、必ず傾斜したほうに弧を描いていきます。その感覚を体で知るのです。その時、バランスを取るにはやっぱり手を広げなきゃいけない。きちんと胸の位置で真横に広げなければ、バランスはよくなりません。

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