鈴木明子さんに聞く世界選手権。「羽生選手は進化のスピードが速すぎて...」 (3ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao

宇野昌磨は「引き込む力」で勝負する

── もうひとり、日本の男子選手で大躍進を遂げたのが、18歳、高校生の宇野昌磨選手です。グランプリファイナルで3位、全日本選手権は2年連続の2位と、見事な成績を残しています。宇野選手を幼い頃から知っている鈴木さんから見て、宇野選手の成長ぶりはいかがですか?

鈴木 本当に大人になったと思います(笑)。体が大きくなってきたこともあるのですが、もともと持っている表現力に4回転とトリプルアクセルが加わって、安定感がすばらしい。シニアの1年目は難しいと言われているのに、宇野選手にはまったく関係ありません。演技のスケールが大きくて、終盤にはお客さんがスタンディングオベーションをしたくてたまらないという感じで見ています。宇野選手の「引き込む力」には驚かされます。

 私は彼が小学生の頃から知っていて、親戚のおばちゃんみたいなものなので、よく見えない部分があります。アナウンサーの方に「宇野選手には色気がありますね」と言われても素直に「はい」と答えにくいのですが、インタビューの受け答えを聞くと立派になったなと感じます。

── 今回の世界選手権に、その宇野選手と前回大会2位の羽生結弦選手が日本代表として出場します。

鈴木 シーズン序盤から飛ばした羽生選手が、締めくくりの世界選手権でどんな滑りを見せてくれるのか、本当にワクワクします。昨年は優勝したハビエル・フェルナンデス選手(スペイン)に逆転されたので、燃えているはずです。もう私が考えられるレベルのはるか上をいっているので、羽生選手がどこに完成形を求めているのか、世界選手権で確かめたいと思っています。

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