中国杯優勝の浅田真央。印象的だった「とてつもない伸びしろ」 (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha   能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 そんな心の内を抱えながらも、SPに続き、フリーでも冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させた。休養前にはほとんど見ることができなかった、軽やかで力みのない、切れ味抜群のジャンプだった。ここから勢いに乗っていくかと思ったが、落とし穴が待っていた。

 直後の連続ジャンプの3フリップ+3ループの2つ目のループで回りきれずに転倒。そして3本目のジャンプとなる苦手の3ルッツではバランスを崩して2ルッツになる立ち上がりだった。また、プログラム終盤には得意の3フリップからの3連続ジャンプを予定していたが、1フリップとパンクしてしまう失敗が続き、アンダーローテーションの回転不足と判定されたジャンプも2つあるなど、ジャンプで精彩を欠いた。

「最初のフリップ+ループの失敗は、自分の中でも予想外で気持ちが前に前に行ってしまって、次のジャンプも平常心を保てないまま行ってしまったかなという感じがありました。後半のジャンプ(ミス)は、ちょっとスタミナと気持ちが合ってなかったかなという感じでした」

 確かに得意なジャンプで失敗をして、得点は伸び悩んだ。それでも、代名詞のトリプルアクセルをしっかりと跳んだ。その上、プログラムのジャンプ構成は、休養前よりも明らかに難しいものに取り組んでいる。冒頭のトリプルアクセルから始まり、3フリップ+3ループ、そして3ルッツという高難度のエレメンツの連続技だ。この組み合わせのジャンプ構成はSP(SPの場合は連続ジャンプとルッツの間にスピンが入る)とフリーともに果敢に挑戦した。

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