漫画家・槇村さとる「髙橋大輔の『白鳥の湖』が忘れられない」
女性漫画家の第一人者、槇村さとるさんはフィギュアスケートを描いて35年。観戦歴は40年以上! この競技の魅力や選手について、ユニークな視点で大いに語ってくれた。
現在は『モーメント』を『Cocohana』で連載中の槇村さとるさん
槇村さとる
東京都生まれ。1973年『白い追憶』(別冊マーガレット)でデビュー。1978年、フィギュアスケートを題材にした『愛のアランフェス』を連載開始。代表作はドラマとしても人気を博した『イマジン』『おいしい関係』『Real Clothes』など。コミックのほかにも対談集やエッセイも上梓している
フィギュアスケートの醍醐味は、スピードと重力
私が競技としてフィギュアスケートを見始めたのは、中学3年生だった時。札幌五輪のジャネット・リン(※1)からです。彼女のスケーティングは今見てもきれいですね。
※1 アメリカのフィギュスケート選手。1972年札幌五輪、女子シングルで銅メダルを獲得
母親の影響で、その前からバレエは見ていました。バレエで、パッとポーズを決めるじゃないですか、それをフィギュアスケートでは、ものすごいスピードでやるでしょう。子どもながらに、それが心に響いたんでしょうね。その後、取材で間近に見て、さらにそのスピード感がすごいなと思いました。
60m×30mのリンクをシャーッと来て、あっという間に向こうに行ってしまう。あのスピード感はテレビではわからない。そして"重力"。そのスピードに乗ってのジャンプだから、すごい落ち方をするんですよ、そこに、この競技の核心があるし、魅力なんですよね。バレエも重力との戦いですが、自力で走った勢いだけだから、パワーが全然違う。
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