連覇達成。羽生結弦が語ったGPファイナルの「収穫」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 ケガを負った後の激動の1カ月間を、「今思うと本当に幸福だったと思います」と言って笑みを浮かべる羽生。

「第一は中国でのアクシデントが、五輪が終わった次の年の出来事だったということ。それに、グランプリシリーズで、あのようなアクシデントを経験できる人はほとんどいないということもあります。あんな状況に陥ったあとで、どういう風に練習していけばいいかというのを、何かつかんだような気がしました。それに、その練習をやるために、どれだけ周囲からのサポートがあるのかということも実感できました。本当に感謝の気持ちでいっぱいでしたし、いい経験ができたと思います」

 また、グランプリファイナルへ向けては、身体の状態を見ながら調整をしていたシーズン初戦の中国大会前とは違い、確実に追い込めたという手応えもあった。

「もうやりたくないと思うようなハードな練習に耐えられた自分の身体や、それを支えてくれたトレーナーや家族にも感謝したい」(羽生)

 それとともに、試合に向けての調整面でも、会得するものがあったという。

 この日の試合前の公式練習に、羽生は5分ほど遅れて参加した。「公式練習で動き過ぎると疲れるというか、今まで公式練習で(練習の順番が)6人目のとき、曲をかけての練習でうまくいった試しがなかったから」というのがその理由だった。

 1番滑走からやっていく曲をかけての練習で、羽生は6番目である自分の順番になるまでリンクに上がってスケーティングで身体を慣らしていく。すると、身体が温まってくるとジャンプを跳びたくなってしまい、そのままジャンプを跳んでしまうと、曲をかけての練習の時には疲れてしまっているという。そのため、練習をスタートするタイミングを遅らせたのだ。

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