連覇達成。羽生結弦が語ったGPファイナルの「収穫」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 バルセロナで行なわれたフィギュアスケートグランプリファイナルの男子フリー。羽生結弦は、最終滑走で今シーズンこれまでに見せたことがなかった完璧な演技を披露した。

 6分間練習では3回転ルッツの連続ジャンプや、トリプルアクセルからの3連続ジャンプを決め、4回転トーループと4回転サルコウもきれいに成功。そして臨んだフリーの冒頭では、本人が「跳んだ瞬間に『きた!』と感じた」と言うほど完璧な4回転サルコウを決めた。

グランプリファイナルで連覇を達成した羽生結弦グランプリファイナルで連覇を達成した羽生結弦 羽生は中国大会のアクシデントの影響を微塵も感じさせない演技で、続く4回転トーループもGOE(出来ばえ点)で2・71の加点をもらう完璧なジャンプ。力強さとしなやかさを持ち合わせたステップで観客をわかせると、その後に3つ続く連続ジャンプも完璧に決め、優勝を確実にした。

 ただ、最後の3回転ルッツは回転不足で転倒。羽生は演技を終えた瞬間にペロリと舌を出して照れ笑いを浮かべた。

 それでも、ミスをしたルッツ以外はGOEでもすべて加点が並ぶ出来。技術点は4回転サルコウで転倒した昨年のグランプリファイナルを1・27点上回る103・30点の高得点で、フリーでの自己最高記録を更新する194・08点を獲得。合計で2位のハビエル・フェルナンデス(スペイン)に34・26点の大差を付けて、グランプリファイナル連覇を果たした。

「終わってみたら連覇、という感じです。僕にとってはギリギリで滑り込んだファイナルだったので(出場6人中6位)、優勝したいとは思っていたけど、連覇(するという意識)とは切り離されたものでした。連覇にとらわれることなく、今やるべきことができたのかなと思います。NHK杯(11月)とソチ五輪(2月)は、どちらも『優勝じゃなければダメだ』という感覚を持って戦った試合でしたけど、それがいい経験になっていた」

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