フィギュア日本男子、3枠は確保。ソチ五輪までに必要なこと

  • 辛仁夏●文 text by Yinha Synn
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

最悪のコンディションの中、世界選手権で4位に入った羽生結弦最悪のコンディションの中、世界選手権で4位に入った羽生結弦 ソチ五輪の前哨戦となる今回の世界選手権は、男子フィギュアが大きく転換する画期的な大会となった。

 メダルを争うためには、4回転ジャンプをショートプログラム(SP)で1度、そしてフリーでも2度以上跳ぶことが求められる、ハイレベルな戦いを繰り広げた。もはや4回転が主流になる時代が幕を開けたと言っても過言ではない。今大会のフリーに出場した24人中、半数以上の15人が、成功させたかどうかは別にして4回転を跳んでいた。

 特にミスが許されないSPでの4回転の成否が、勝敗を大きく左右することがあらためて分かった。日本の男子3選手はいずれもクリーンにこの大技を決めることができず、順位を下げた。高橋大輔はジャンプの回転不足で4位発進だったが、羽生結弦は4回転で転倒したほか、必須となっている連続ジャンプを入れることができず、9位と出遅れた。ジャンパー、無良崇人も今大会は得意の4回転が不発で力を発揮できなかった。

 一方で、2000年のアレクセイ・ヤグディン(ロシア)以来となる3連覇を達成したパトリック・チャン(カナダ)は得点源の4回転を、SPとフリーでいずれも成功。SPでは羽生が今季塗り替えた世界歴代最高得点を大幅に上回る98.37点をたたき出した。フリーでは大技を2度跳びながらも、苦手のトリプルアクセルと3回転ルッツで転倒するなどジャンプミスが続いたが、演技構成点で高得点を出してリカバーし、総合267.78点で3年連続優勝を飾った。

 ソチ五輪を最後に現役引退を決めている高橋の五輪プレシーズンは、結果も内容も浮き沈みの激しさが見られた。本人も「良かったり悪かったりと、その差がすごく激しかったシーズンだった。この時期にこのような経験ができたから、オリンピックシーズンは大丈夫だと信じたい」と、今シーズンの反省を踏まえた上で新たな気持ちでソチに向けてステップアップをしていくつもりだ。

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