【独占インタビュー】那須川天心は初黒星で何を変えたのか 井上拓真への雪辱に向けた"原点回帰"とさらなる進化 (2ページ目)
【自分が関わっている人は、自分の鏡みたいなもの】
自身のチームを取り巻く信頼関係もまた、那須川天心の大きな支えとなっている photo by Naoki Fukuda
――前回の試合を少し振り返っていただきたいのですが、拓真選手は事前の想定以上に強かったんでしょうか?
那須川 うーん、なんか自分がわからないボクシングをされましたね。ボクシングの幅と言いますか、そういったところで後手になってしまい、負けてしまった。パンチが強かったとか、スピードが速くてとか、手数がどうとかじゃなく、やってくる幅。間合いの取り方とかですね。今回はそこ(への対抗策)を探ってきた感じです。
――あの試合での那須川選手は2回まで完璧に近いボクシングをしました。3回以降に流れが変わったように見えましたが、そこから相手の幅が出てきた?
那須川 そうかもしれません。向こうが前に出てきたり、ちょっと歯車を狂わされたという感じで、基本的にそこから立て直すことができなかった。まだ自分の発想、発展が少なかったなと思います。
――あの試合は公開採点で4ラウンドごとに途中経過が発表されました。最初の4回は3-1でリードかなと思ったのが、2-2だったことは影響があったのでしょうか。
那須川 今考えれば、ありましたね。ドローだったので、スタイルを変えなきゃいけないと思ってしまったのが、その時の自分の未熟さでした。
――あれがもし3-1だったら、そのままのスタイルでやっていたかもしれない。
那須川 そうかもしれません。もちろんそうなったら向こうも変えなければいけないと思っていたわけで、"たられば"の話ではありますが。
――那須川選手は人気者ではありますが、それと同時に"日本で一番と言ってもいいくらいアンチも多い選手"という話を以前したことがありました。それほど毀誉褒貶が激しいと、負けたあとは大変だったのではないでしょうか。
那須川 負けたのは初めてだったから、自分よりも周囲にドヨンとした天気の悪い日みたいな空気がありましたね。友だちや仲間は相当落ち込んでいたし、いつもハイテンションな奴が病んでいるみたいな感じになっていたり。自分がそうさせちゃっているんだから、それはちょっと申し訳ないなと思いました。
――自身よりも周りのほうがショックを受けていた。
那須川 自分はあまり感情に左右されないんですよ。悲しい、悔しいとかがダメだとは思わない。悔しいんだったら悔しい、悲しいなら悲しいでいいし、「その感情を手に入れた」と思ったほうが得るものは大きい。ただ、僕が負けて周りがドヨーンとしたり、悲しくなったりというのは今まで見たことがなかったので、自分のためにも、もうそうさせないようにしよう、とは思いました。周囲に悲しい、悔しいと感じさせたという感情とともに生きていくというのが、一番のストレスでした。
――スポーツでよく言われるのが、負けるとそれまでちやほやしてくれた人が離れていくということ。そういう感じではなかったですか?
那須川 それはなかったですね。むしろ周りの人が落ち込んでいて、だから「本当にいい仲間を持ったな」と。それで離れる人がいても、別にいいんです。それでいなくなる人は心から応援してくれる人ではないわけですから。僕は自分が関わっている人は、自分の鏡みたいなものだと思っています。相手が思っていることは、自分がさせていること。そういった感じでいろいろと気づいたことはあります。
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