【独占インタビュー】那須川天心は初黒星で何を変えたのか 井上拓真への雪辱に向けた"原点回帰"とさらなる進化
那須川天心は井上拓真戦の初黒星から再戦までの思いについて語ってくれた photo by Naoki Fukuda
那須川天心 単独インタビュー前編
那須川天心(帝拳)にとって大一番と言える再戦が間近に迫っている。9月27日、トヨタアリーナ東京でWBC世界バンタム級王者・井上拓真(大橋)に挑むタイトル戦は、昨年11月以来のリターンマッチだ。初戦では3-0の判定負けを喫し、格闘技キャリアで初の黒星を味わった"神童"は、雪辱の場にどんな想いで臨み、どのように戦うのか。8月中旬、東京都内で行なった単独インタビューでじっくりと話を聞いた。
【キャリア初の敗戦で吹っ切れたもの】
――大事な再戦が間近に迫っていますが、今の意気込みは?
那須川天心(以下、那須川) 前回、拓真選手との試合が終わってから、この再戦のために準備をしてきました。いつ試合が組まれても、いつ試合が始まってもいいぐらいの気持ちで。4月には復帰戦でフアン・フランシスコ・エストラーダ選手(メキシコ)と戦ったわけですけども、そこを目ざしてやってなかったというか、今回の試合に向けてずっと取り組んできたという感覚です。
――当然ですが、少なくともこれまでのボクシングキャリアでは最も大事な試合ですよね?
那須川 ボクシングキャリアだけに限らないですよね。格闘技キャリアのなかでも本当に、本当に、大事な試合です。初めて負けましたから、その借りといいますか、預けたものをしっかりと取り返しにいく試合になります。
――格闘家としてのキャリアは長いですが、そのなかでも一番重要かもしれない。
那須川 それくらい大事にしているかもしれないですね。もちろん毎試合大事ではあるんですけど、前回の試合を見てもらえればわかると思いますが、お客さんも感情移入しやすいといいますか、人生を見てもらっている感覚なのかなと思いますね。
――相手が現代の日本ボクシングを代表する井上家の選手というところまで含め、非常にわかりやすいストーリーがありますね。那須川選手のほうで、この1年で変わったところというと?
那須川 前回の試合までは、どちらかと言うとボクシングを習う、学ぶという感覚でずっとやっていました。あの敗戦から、自分を反面教師みたいな感じで捉えて1年間ずっとやってきている感じです。あれが"失敗"とは、自分はあまり思わないですけど、 ああなってはいけないなっていう結果は出ています。そうならないために何をするかということを強く考えながらやっている感じです。
――あの敗戦を味わったから得られたものとは?
那須川 何か吹っ切れることができたところはあります。何のためにやっているんだろうというのをもう一回自分で探ってみて、 本当に自分が強くなりたいと。
最終的には自分のためじゃないですか。誰々のために格闘技をやっているとか、 ファンのためにとか言いますけど、 それって嘘だと思う。自分のため、自分をしっかりと見せることができたら、自ずとみんなのためにもなる。 その自分とは何なのかをずっと考えてやってきている感じで、だから環境も変えました。どうせやるなら、自分で言い訳を作りたくないし、後悔したくない。原点回帰で葛西裕一トレーナーに教えてもらったりとか、父親のジムに行ったりとか、自分がやってよかったなって思える環境でやることを重視しています。
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著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう


