【ボクシング】井上尚弥戦が決まった中谷潤人が語る、苦戦からの学びと成長「壁が高ければ高いほど、乗り越えた時の達成感も大きい」 (3ページ目)
【中谷が見据えているもの】
それから4年――。
中谷は試合が決まると、米国カリフォルニア州ロスアンジェルスでキャンプを行なう。15歳で渡米し、ボクサーとしての土台を築いた第2の故郷である。メキシコ系アメリカンのコミュニティーに、中谷は根を張った。
LAキャンプでスパーリングを行なう中谷この記事に関連する写真を見る
私は当地でのトレーニングを目にし、インタビューを重ねた。また、ロスで、相模原で、東京で、フィラデルフィアで、そしてサウジアラビアのリヤドで、ICレコーダーを彼に向けた。
「その質問、難しいですねぇ......」
「はい。あえて、そんなクエスチョンを投げかけています」
そんな会話を交わしたことも一度や二度ではない。また、完成にはほど遠い段階での生原稿を、中谷は「読みたい」と言った。こうした時間を持つことで、さらに深みのあるやり取りとなったように感じる。彼が生まれる少し前からアメリカ合衆国のボクシング界を探究してきた私は、取材を通じて得たありったけの知識を、この若き才能にぶつけた。それだけの価値がある男だったからだ。
中谷は4年間をこんな風に振り返る。
「浴びせられた問いかけについて、じっくり考える時間を持つことができました。本当にたくさんです。そのたびに、思いを巡らせて答えました。熟考ですね。
今回の書籍では、僕の肉声を世間の皆様に知ってもらえる喜びがあります。そして僕の仕事は、自分と対話してきた内容をリング上で発揮することです」
書籍を手に、「超える」と書かれたオムライスとこの記事に関連する写真を見る
中谷にとって、井上尚弥戦は最終ゴールではない。
「自分自身を成長させるという目標は今後も同じですが、ボクシングに関しては、階級を上げていくことを見据えるようになるんじゃないかと思っています」
ここ最近は、どんな対話を中谷潤人としていますか? と訊ねてみた。
「前回、修正すべき点が多く見つかったので、細かく状況を考えたうえでの複雑な作業を積み重ねなければいけないと感じています。壁が高ければ高いほど、乗り越えた時の達成感も大きいですし、まさに『超える』ですね(笑)」
対戦相手を凌駕するよりも、今日の己を超えるために全力を尽くす中谷潤人。その生き方に注目だ。
■取材協力「おでん ふく」
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著者プロフィール

林壮一 (はやし・そういち)
1969年生まれ。ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するもケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。ネバダ州立大学リノ校、東京大学大学院情報学環教育部にてジャーナリズムを学ぶ。アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(以上、光文社電子書籍)、『神様のリング』『進め! サムライブルー 世の中への扉』『ほめて伸ばすコーチング』(以上、講談社)などがある。
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