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【ボクシング】井上尚弥戦が決まった中谷潤人が語る、苦戦からの学びと成長「壁が高ければ高いほど、乗り越えた時の達成感も大きい」 (2ページ目)

  • 林壮一●取材・文・撮影 text & photo by Soichi Hayashi Sr.

 中谷と私の邂逅は2021年師走だった。WBOフライ級タイトル2度目の防衛戦を数週間後に控えた彼を、ある雑誌の取材で訪ねた。中谷は所属するM.Tジム(神奈川県相模原市)で、日本ライトフライ級、同フライ級のベルトを巻いた黒田雅之と6ラウンドのスパーリングをこなした。芸術的と表現できる動きを随所に見せ、黒田のパンチをことごとく躱(かわ)した中谷は、目がよく、バランスも崩れず、何より気力が充実していた。

 この日、中谷は一日を振り返り、自身のノートに以下のように記している。

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今日の目標 スピード、バランス、右リード、集中力

朝 9:00

朝食 パン×2、ウィンナー、玉子

昼食 エクレア

体重58.5 → 57.2

体温37.3℃ 血圧112 - 82 - 74 spo2 99%

反省 イイところ

 今日は黒田選手と6ラウンドのスパーリングでした。週初めで少し硬いところが出るので、最初は特にリズムを上げていった。全ラウンド通して少し相手に正面(腹)を見せてしまった感じがあるから、もっと半身に構えてポジションをしっかり取って打てるように!! 左アッパーが、まだ浮いてしまうところがある。あまり良くないので、ロングの距離とか、近いところで膝を使ってのアッパーを!!

 ミットでは1、2の感覚とひとつひとつのパンチを丁寧に打つことを意識していけた。

夜食 梅おにぎり×2、水餃子、豚焼き

寝た時間1:30

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 求道者のように、ボクシングに向かう彼の姿勢に惹かれた。

 だが、コロナ禍のあおりを受け、世界タイトル2度目の防衛戦は3カ月ほど延期となる。この頃、"モンスター"はWBA/IBFバンタム級王座に就いていた。つまり、フライ級の中谷とは2階級もの差があった。しかし、黒田とのスパーリングを目にした私は、「井上尚弥の存在を脅かすのは中谷以外に考えられない」と感じた。

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