【格闘技】朝倉海は長所を磨くべきか、短所を埋めるべきか 川尻達也が自身の経験を踏まえて語る海外での戦い方 (4ページ目)
【4人の日本人選手は「UFCのチャンピオンになってくれる」】
――長所を生かす、短所を埋める、UFCで頂点を目指すにはどちらも必要だと思うのですが、それは選手の年齢やキャリア、置かれている状況にもよりますよね?
「もちろん苦手を補う練習も必要ですけど、年齢と契約期間を考えれば、海選手は持っている武器をどう生かすかに特化したほうが現実的だと思います。パンチ力もストライキング技術も間違いなくある。だったら、組み技のレベルを上げて一本を取ることを目指すよりも、得意な打撃を生かすためにどう組み技を使うか、と考えるほうがいいと思いますね」
――海選手のキャリアやUFCでの現在地を考えると、ということですよね。
「そうですね。苦手なことを埋めるのは時間がかかります。20代前半の若手選手ならイチから作り直して、ストライキングもグラップリングも全部できるようになることを目指す。その上で、得意な武器で戦うことができるのが理想的です。でも、契約の問題もあると思いますし、海選手がここから数年かけてそれをやるのは現実的ではないですよね」
――とにかく次の一勝、そこから勝ちを積み上げていくしかないということですね。
「まだあきらめる必要はまったくないし、武器を磨いて勝負すれば十分に間に合うと思います」
――朝倉海選手をはじめ、UFCのフライ級に挑む日本人選手たちについてはどう見ていますか?
「堀口(恭司)選手、平良(達郎)選手、鶴屋(怜)選手、そして海選手。全員チャンピオンになれる可能性があると思います。特に堀口選手、平良選手は、すでにチャンピオンになれる実力がある。海選手は改善の余地次第で、まだまだ上に行けます。
鶴屋選手は23歳と若いですから、これから全体のレベルを上げていける時間もある。もともとレスリングベースですし、最近は、僕もお世話になっていた山田武士トレーナー(「JBスポーツ」代表/「チーム黒船」トレーナー)から打撃を学んでいて、伸びしろも十分。いずれにしても、この4人のうちの誰かが、近い将来に必ずUFCのチャンピオンになってくれると信じています」
【プロフィール】
■川尻達也(かわじり・たつや)
2000年プロデビュー。『修斗』でウェルター級世界王者に輝くと、2005年から『PRIDE』、2008年からは『DREAM』に参戦。五味隆典、青木真也、ギルバート・メレンデス、エディ・アルバレスら世界的強豪と激闘を繰り広げた。2013年に『UFC』と契約。デビュー戦を一本勝ちで飾るも、2016年に自ら契約解除を決断し、『RIZIN』に電撃参戦。2019年には「ファイター人生最後のチャレンジ」としてライト級GPに挑み、パトリッキー・"ピットブル"・フレイレ戦に臨んだ。
"クラッシャー"の異名を持ち、網膜剥離を三度経験しながらも、長きにわたりトップ戦線で活躍。現在は『Fight Box Fitness』を主宰し、格闘技の楽しさを伝えている。
著者プロフィール
篠﨑貴浩 (しのざき・たかひろ)
フリーライター。栃木県出身。大学卒業後、放送作家としてテレビ・ラジオの制作に携わる。『山本"KID"徳郁 HEART HIT RADIO』(ニッポン放送)『FIGHTING RADIO RIZIN!!』(NACK5)ウェブでは格闘技を中心に執筆中。レフェリーライセンス取得。ボクシング世界王者のYouTube制作も。
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