【格闘技】朝倉海は長所を磨くべきか、短所を埋めるべきか 川尻達也が自身の経験を踏まえて語る海外での戦い方 (3ページ目)
――海選手は、一軒家を借りてトレーナーやスタッフと過ごしていましたよね。
「そういう方法もありますよね。ただ、コストがかかるので誰もが同じようにはできません。いずれにしても海外で日本と同じやり方を求めると、イライラしたり、心が乱れたりすると思います。僕自身は本来きっちり型でしたが、海外では『もう、どうでもいいや』と割りきることで戦えました」
――国内と海外では選手としての扱われ方も変わると思いますが、川尻さんの場合はどうでしたか?
「特別扱いはまったくなかったです。海選手は契約内容が違うと思いますから、また別でしょうけど。僕の場合、DREAM時代はこちらの『こうしてほしい』というリクエストを運営に聞いてもらえることが多かった。僕がいわゆる"Aサイド(試合の主役、主導権を持つ側)"で、相手を誰にするかが決まっていました。
でも、UFCでは相手ありきで、『この選手に川尻を当てよう』という感じで組まれます。向こうにとってみれば、ただのひとりの日本人ファイターに過ぎないですからね」
――試合ではアウェー感もありましたか?
「UFC3戦目はドイツで、地元のデニス・シヴァーとの対戦でした。会場は完全アウェーで、歓声が全部相手に向けられていた。試合中に首を抱えられただけで大歓声が起きた......らしいんです。でも、僕は全然気づいてなくて、後で聞いて『え、マジっすか?』って驚いたくらい。そのくらい、ケージに入って戦うということだけに集中していました。だから、アウェーでも気にならなかったですね」
――試合だけにフォーカスして、その他は気にしないと開き直れたのは、川尻さんの強さでもありますね。
「そうかもしれないです。普通なら『日本だったら......』とナーバスになるところを、『どうでもいいや』と割りきれた。"鈍感力"で乗りきるしかなかったけど、それができたのは自分の強みかもしれないですね」
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