【女子プロレス】アジャコングから「お前、バカだろ」 ハードコア・クイーンことDASH・チサコは「みんながまだ行ったことのないところに行きたい」 (3ページ目)
3つ目は2023年11月5日、アジャコングとの一騎打ち。全日本女子プロレス時代から数々のハードな闘いを繰り広げてきたアジャだが、意外にも"ハードコアマッチ"と銘打たれた試合は、この日を含めてわずか二度しかなかった。ひとつは2018年10月9日、志田光の自主興行でのタッグ戦。そして、もうひとつがこのチサコ戦である。
カードが発表された瞬間、チサコは思った。「自分だから受けてくれたのかもしれない」――。その誇りとともに挑んだ17分間。結果は敗北だったが、全身で受け、全身でぶつかり合ったその激闘は、観客にアジャの凄みとチサコの矜持を強烈に刻みつけた。
身長151cmという小柄な体格が長年のコンプレックスだった。だが、高所からの一撃、椅子を持ち込む演出、会場全体を使った展開......小さくても存在感を放つ独自のスタイルを彼女は築き上げた。体のダメージは確かに大きい。それでも「小さいから負ける」と思ったことは一度もない。
3つの試合が、DASH・チサコを真の"ハードコア・クイーン"へと押し上げた。あの日KAORUが囁いた言葉は、今も胸の奥で鳴り響き続けている。
【里村明衣子が引退し、選手が一致団結】
2021年7月11日、仙女後楽園ホール大会の最後、マイクを持った橋本千紘は観客の前で涙を見せた。集客が思うようにいかなかったからだ。南側のオレンジシート――空席が悲しいほどに目立った。
しかし4年後の今年7月19日、後楽園ホールは満員。すさまじい熱気だった。しかも4月に里村が引退してから、初の後楽園ホール大会である。"新生・仙女"の勢いを誰もが感じた瞬間だった。
「里村が引退して、選手が一致団結したのはあると思います。みんな今まで頑張ってきたからようやく試合の評価をしてもらえるようになったけど、まだまだ知名度は低い。試合はもう絶対、大丈夫なんです。あとはお客さんが入ってくれるだけ」
3 / 5