【女子プロレス】アジャコングから「お前、バカだろ」 ハードコア・クイーンことDASH・チサコは「みんながまだ行ったことのないところに行きたい」 (2ページ目)
チサコはハードコアとデスマッチの違いをこう定義する。
「椅子やテーブル、ラダーでどれだけ試合を作れるかを競うのがハードコア。デスマッチは自ら血を流しにいくもの」
デスマッチが"いかに血を美しく流すか"を美学とするならば、ハードコアは"いかに血を流さずに試合を作るか"がテーマとなる。その奥深さに、チサコはのめり込んだ。
2019年7月、仙女初のイギリス興行で、ケイ・リー・レイとハードコア形式で対戦した。流血せずともスタンディングオベーションが起こったのを見て、「一生懸命やれば必ず伝わる」と思った。ハードコアの可能性を信じ、その世界を極めたい。海外で女子のハードコアを確立したいと考えている。
身長151㎝の小さな体でパイプ椅子を叩きつけるDASHチサコ photo by センダイガールズプロレスリングこの記事に関連する写真を見る
椅子の置き方ひとつにもこだわり、リングに転がった椅子をあえて片付けず残し、不意の展開へとつなげる。高所から技を仕掛ける前は会場の構造を必ず確認する。緊張で眠れない夜もあるが、頭の中は常に新しい展開のことでいっぱいだ。
【3つのターニングポイント】
ハードコアを始めてから10年。ターニングポイントとなった試合は3つある。それぞれが、DASH・チサコのプロレス人生の針を大きく動かした。
ひとつ目は2020年3月7日、対KAORU戦。憧れの背中を追い続け、ようやく迎えたシングルマッチだった。勝利を収めた瞬間、胸の奥が熱くなる。試合後、KAORUに抱き締められ、耳元で「チサコがハードコア・クイーンだよ」と囁かれた。心が震えた。
ふたつ目は2022年11月20日。木髙イサミと組み、朱崇花(現VENY)&葛西純と対戦。やりたかった顔ぶれが揃った夢のカードだった。仙女ではほとんど行なわれないミックスドマッチ。緊張よりも、リングに立てる喜びが勝った。その時にチサコを仕留めた葛西とは、今年4月にタッグを組んで闘った。
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